納骨の費用や時期・納骨の方法について

火葬した遺骨をお墓などの施設に納めることを納骨といいます。地域・宗派の違いや家庭の事情によりまちまちではあるものの、四十九日などの節目の時期を選んで行われることが多く、作業代やお布施などの出費もともないます。
親しい人が亡くなった場合には、まっさきに葬儀を執り行うことになるのがふつうですが、火葬が済んだあとの遺骨は骨壷にていねいに入れた上で、いずれお墓や納骨堂に納めることになります。この納骨に関して時期や場所などの詳細を決める特段の法令はありませんので、地域や宗派によって、あるいは家庭の事情によってそれぞれ違いが生まれる可能性があります。

納骨についての基礎知識

家族や親族が亡くなった場合、その人にゆかりのある多くの人々が参列して通夜・告別式が行われ、やがて棺は火葬場に運ばれて火葬されることになります。遺骨は主に家族や親族の手によって骨壷にていねいに入れられて、いったんは自宅へと戻って祭壇にそのまま安置されるのがふつうです。このように自宅に遺骨を安置して供養するのを手元供養と呼ぶことがありますが、通常は四十九日法要などの節目の時期にあわせて、お墓や納骨堂などの恒久的な施設に遺骨を移します。このことを納骨といいますが、その時期や費用は地域や宗派の違いによって、あるいは家庭の経済的な事情などによってさまざまですので、個別のケースに応じて適切な選択をする必要があります。

地域によっては火葬をしたあとで直ちに先祖代々のお墓に家族が出向き、そこで僧侶に短いお経を上げてもらって、そのままお墓に納骨するスタイルが定番となっていることもあります。いずれにしても納骨の際には納骨式と呼ばれる簡単な儀式を行いますので、そのための準備や費用の算段なども忘れないようにしましょう。最近では遺族に降りかかる高額な費用の負担を避けるため、あるいは亡くなった人が生前に抱いていた希望を全うさせるためなどの理由で、一般的な納骨ではなく樹木葬や海洋散骨といった別の方法が採用されることもあります。

納骨にかかる費用について

納骨にあたっては費用がかかるため、あらかじめ費用の見積もりをしておいた上で、なるべくその他の家計費の出費と重ならない時期を選ぶなどの配慮も必要です。すでに先祖代々のお墓を持っていて、あらためて納骨をする場所を用意する必要がなかったとしても、通常はお墓の納骨スペースにあたる唐櫃の蓋は閉じていますので、石材店に連絡して納骨式にあわせて開閉をしてもらうよう依頼しなければなりません。蓋は数十キロもある石材であり、専用の器具を用いなければなりませんし、実は蓋を閉じたあとにコーキング処理をするなどして、雨水が唐櫃に入らないように補修するなどの地道な作業も行っています。そうすると石材店の作業代として少なくとも2万円から3万円程度は見積もっておいたほうがよいことになります。

また新たにお墓に入る人の氏名を既存の墓石の側面に彫刻する必要も出てきますので、彫刻料として同程度の費用がかかります。もしも石材店が遠方にある場合には、わざわざ機材を積載したトラックで出張しなければなりませんから、若干の交通費が上乗せされるのがふつうです。これらの納骨にかかる直接的な費用をトータルすると、最低でも数万円から場合によっては10万円ほどになることがあります。代金の支払い方法や時期も石材店によりけりですが、当日ではなく後日請求書が届いてからとするのが一般的です。

納骨する時期について

納骨する時期について法令などに特段の指定はありませんので、もっぱら遺族の家庭事情によるか、または地域や宗派における昔ながらの風習に応じて決めることになります。人によっては納骨をせずに延々と手元供養を続けることさえもありますが、これは亡くなった人に対して特に愛着があって納骨をするのが惜しまれるという心情的な理由のほか、単純に納骨の費用が捻出できないという経済的な理由によることもあります。もっとも一般的には忌明けにあたる四十九日法要を目処として、家族や親族が集まる機会に納骨式を執り行い、先祖代々のお墓に納骨することが多いといえるでしょう。もしも先祖代々のお墓がなく、新たにお墓を建てる必要がある場合には、さすがに四十九日法要では準備期間が少なすぎます。

この場合は一周忌の法要を目処にして、その間に墓地の永代使用の申し込みや墓石の購入・外構工事などの手続きや作業を済ませておくスケジュールになります。そのほかにも新盆や百か日法要、三回忌の法要などを目処とすることがありますが、いずれにしても明確な時期の決まりがあるわけではありませんので、個別の事情にあわせて無理をしない範囲内で決めるのが妥当です。さきにも述べたとおり、地域によっては火葬をした当日に納骨を済ませてしまうこともあります。

納骨にかかるさまざまな費用

納骨の際には石室の開閉にともなう作業台、亡くなった人の氏名や没年の彫刻料などの直接的な費用のほかにも、さまざまな費用がかかることがあります。たとえば納骨式で菩提寺の僧侶を招いて読経をしてもらうのであれば、感謝のしるしとしてのお布施、ガソリン代相当にあたる御車代、会食の際の食事代に相当する御膳料を納めることになります。地域や宗派によってまちまちですが、納骨であればお布施として3万円から5万円程度、御車代や御膳料はそれぞれ5千円から1万円程度というのが相場です。ほかにもお墓には供養のために新しい卒塔婆を建てることになりますので、こちらの費用としても5千円から1万円程度を用意しておくとよいでしょう。

納骨を済ませたあとは参列した家族や親族が集まり、会食をするのも一般的となっています。もしも神式の場合には直会といいますが、いずれにしても会食という点には変わりがありません。そうすると会食の際の料理や飲み物の提供に要する費用、会場となるホールなどを貸し切るための費用、場合によっては移動のためのマイクロバスを手配する必要などもかかります。これらは参列する人数がどれほど多くなるのかや、料理のグレードと飲み物を提供する本数、借り上げる会場の規模と時間などによって、大幅に異なることがあります。

納骨の方法

納骨の方法としては先祖代々のお墓に遺骨を納める方法がスタンダードなものですが、もしもお墓がなければ新しくお墓を建てる方法がありますし、そのほかにも納骨堂や合祀墓に納骨する方法などがあります。先祖代々のお墓に納骨するのであれば、さきにみたとおり火葬の当日や四十九日法要の時期など、地域の風習にしたがって行うのが無難です。新しくお墓を建てる場合には、いったん遺骨を自宅で手元供養の状態にしておくか、または寺院の納骨壇などを借り受けて準備が整うまで預かってもらいます。そして一周忌などの節目の時期を見計らって、家族や親族を集めて納骨式を執り行い、その機会に納骨を済ませるのがふつうです。

お墓を新しく建てるのであれば数百万円の出費となりますので、費用面でなかなか余裕がなかったり、たとえお墓を建てたとしても承継者がおらず将来の管理や供養ができない場合には、寺院の納骨堂に申し込むのも有効です。納骨堂の内部にはロッカーや仏壇などの形状をした区画が多数設けられており、そのなかの個別の区画を独占使用して遺骨を安置することができるようになっています。いずれにしても骨壷に入れたままの遺骨を個別に安置できますので、あとで資金に余裕ができたときに新しいお墓を建てて遺骨を移すことも容易です。これに対して合祀墓は遺骨を骨壷から取り出し、他の人とあわせてひとつの場所に埋葬するもので、新たにお墓を建てるよりもかなり費用を安く抑えることができます。その代わりに個人の識別ができなくなるため、将来の改葬を検討している場合には不向きです。

火葬した遺骨をお墓などの恒久的な施設に納めることを納骨といい、地域や宗派により独自の風習がみられることもありますが、家庭の事情などを優先して自由に決めることも可能です。一般には四十九日や一周忌などの節目の時期を選んで行われることが多く、石材店の作業代や僧侶へのお布施などの出費もともないます。